市民が火災時に命と暮らしを守る方策の研究

初期消火法を始め、市民のみなさまにできる防災方法や方策の研究を行い、その効果を実験によって確認するとともに、研究成果をもとに講演会等の普及活動に取り組んでいます。

煙からは「逃げるが勝ち」

ぬれタオルを口に当てる

まずタオルを水に浸したら固めに絞ります。そのタオルを口と鼻を覆うくらいの大きさにし、手でメガフォンを作るようにして小鼻から口のまわりまでしっかり押さえます。その時、ちょっと口と鼻のあたりのタオルを膨らませるようにすると呼吸もしやすく、熱気を冷やす効果も上がります。
ところで、いつでも都合よくぬれタオルがあるとは限りません。また、ぬらすことに手間取って貴重な時間を無駄にするよりは、ハンカチや着ている衣服の一部で口と鼻を覆ってください。ネクタイをしている人なら、ネクタイの先を裏返しにして先端部分を小鼻の上部に当てるとマスクのようになります。

煙の中は、はって逃げる

どんなに煙が立ち込めていても、床スレスレのところには空気が残っています。はって逃げるには両肘を床につけて、床をなめるようにして進めば、床スレスレの空気を吸えますし、煙にまかれず見通しもききます。
また壁づたいに避難すると方向もわかりやすく、壁際に、より多くの空気が残っていることもあります。階段まで避難したら、階段の段と段との間のコーナーに顔を突っ込むようにして、はい下ります。

部屋にろう城する

例えばホテルで就寝中に火災に気づき、部屋から避難しようとしてドアノブに手を触れたときに熱いと感じたら、おそらく廊下は高温の状態になっているとみてよいでしょう。そんな時は部屋の中に閉じこもることも避難の一つです。
タオルやシーツを水でぬらし、ドアのすき間や換気口など煙が入ってきそうなところにきっちりとうめることが大切です。そして窓を開けて目印になるものを振り、外の人に知らせましょう。必ず消防隊が助けに来てくれると信じましょう。

知っておきたい!ワンポイント

有害な煙は、火災の熱によって上昇し、天井にぶつかり横へと広がります。そのスピードは、垂直方向に3~5m/s、横方向へは0.5m/sという速さです。群集の歩行速度は、0.8~1.2m/sといわれていますから、煙と遭遇したら戦うより逃げるが勝ちです。
当研究所では、耐熱温度150℃の「けむりフード」を考案し、頒布しています。